目次
◆ ガザは「世界最大の監獄」と呼ばれている
ニュースでよく出てくる「ガザ」。
人口約220万人が暮らし、面積は大阪市より少し大きい程度の狭い土地です。
しかしガザには、
- 物資が自由に入らない
- 人が自由に出られない
- 失業率は50%以上(若者は60%以上)
- 電気は1日数時間だけ
- 海も空もイスラエルが管理
- 国境を出るには特別許可が必要
という異常な状況が続いています。
なぜガザはこうなってしまったのか?
この第8話では、その「核心」を、歴史と政治の流れの中でわかりやすく解説します。
🌍 1. ガザとはどんな場所? 〜“世界で最も人口密度が高い地域のひとつ”〜
ガザ地区は、
- 長さ:約40km
- 幅:6〜12km
という細長い沿岸地帯に、
220万人が密集して暮らしている地域です。
住民の多くは、1948年の「ナクバ」によって家を失った“難民”とその子孫です。
この人口密度は世界最高レベルで、学校・道路・インフラは常に過密状態にあります。
🔥 2. ガザ封鎖はいつ始まったのか? 〜2007年から今も続く“完全封鎖”〜
ガザ封鎖の始まりは2007年です。
◆ ステップで見るガザ封鎖の流れ
✔ 2005年
- イスラエルがガザから軍と入植地を撤退。
- ただし、空・海・陸の境界管理権は依然としてイスラエル側が保持。
✔ 2006年
- パレスチナ選挙でハマスが勝利。
- イスラエル・欧米に大きな衝撃。
✔ 2007年
- ハマスがガザを武力で掌握(ファタハを排除)。
- イスラエルはガザを「敵対勢力支配地域」と見なす。
✔ 封鎖開始
- イスラエルとエジプトが、ガザの出入り口を厳しく制限する封鎖を実施。
これが、今日まで続く「ガザ封鎖」の出発点です。
🚧 3. ガザ封鎖とは何か? — 人や物資の“完全管理”
ガザ封鎖とは、簡単に言えば、
「ガザから出ることも、ガザに物を入れることも、自由にはできない状態」
ということです。
◆ イスラエルが管理しているもの
- ガザからの人の出入り
- 海上の航行(ガザの漁業は沖に出られない)
- 空域(ガザには空港がなく、飛行機も飛べない)
- 物流(軍事利用の可能性がある物資は制限)
- 電気・燃料の一部供給
◆ エジプト側も国境をほぼ閉鎖
南側のラファ国境も、エジプトが頻繁に閉じているため、
ガザは実質“袋小路”のような状態になっています。
⚡ 4. ガザの生活はどうなる? — 日常に影響する“封鎖の現実”
封鎖の影響は、生活のあらゆる面に及びます。
🔋(1)電力不足
- 電気が1日4~8時間だけしか供給されない日もある
- エアコン・冷蔵庫・病院の機器が安定して使えない
- 夏の猛暑・冬の寒波で生活環境が非常に厳しくなる
🏥(2)医療崩壊
- 医薬品・医療機器の部品・燃料が慢性的に不足
- 病院は電力不足で手術や治療が遅れる
- 一部の医療機器は、修理に必要な部品が輸入できず故障したまま
💼(3)失業率は50%以上
- 全体の失業率は50%以上
- 特に若者(15〜29歳)では60%を超えるとも言われる
- 働きたくても仕事がなく、将来の希望を持ちにくい社会状況
🧱(4)住宅再建が困難
- 戦闘で破壊された家や建物が多数存在する
- 建築資材(鉄・コンクリートなど)が輸入制限の対象となり、再建が進まない
🚰(5)清潔な水がほとんどない
- 水の約95%以上が安全な飲料水の基準を満たさないと言われる
- 海水淡水化施設も電力不足で安定稼働できない
- 子どもの胃腸疾患や感染症が多発
📚(6)教育も過密・不足
- 1クラスに45〜50人という過密状態
- 学校は午前・午後の二部制(地域によっては三部制)
- 教科書や教材が足りないことも多い
このように、
封鎖は“軍事的な制裁”だけでなく、人々の日常生活そのものに重くのしかかる政策
と言えます。
🔥 5. ハマス統治とは何か? — 支援と圧政の“二つの顔”
ガザは2007年以来、ハマスが実効支配しています。
◆ ハマスの役割
✔ 社会支援の顔
- 貧困家庭への食料配布
- 病院・学校への支援
- 孤児・遺族への援助
こうした福祉活動によって、ハマスはガザの貧困層から一定の支持を得ています。
✔ 軍事組織の顔
- イスラエルに対するロケット弾攻撃
- 地下トンネルを用いた戦術
- 武装勢力の訓練と組織化
ハマスは「統治機構」と「武装組織」を兼ねているため、
国際社会からはテロ組織として指定されている国も多く、非常に扱いが難しい存在です。
⚠ 6. なぜハマスがガザで支持され続けるのか?
外から見ると、
「武装組織なのに、なぜ支持されるのか?」
と不思議に思うかもしれませんが、その背景には複数の要因があります。
🔹(1)極度の貧困の中での“生活支援”
ガザでは仕事や収入が不安定な家庭が多く存在します。
- 食料の配布
- 生活費の補助
- 医療・教育支援
などを行うハマスは、ある人たちにとって「生活を支えてくれる存在」でもあります。
🔹(2)PLO(西岸)への不信感
西岸を統治するPLO(ファタハ)は、
- 汚職問題
- 権力争い
- イスラエルとの協力姿勢
などから、パレスチナ人の一部から不信の目で見られています。
そのため、
「イスラエルに本気で抵抗しているのはハマスだけだ」
と感じる人もいます。
🔹(3)占領への“抵抗の象徴”
ハマスの軍事行動そのものに賛成しなくても、
- 「占領に対して声を上げている」
- 「屈服していない」
という点で、象徴的な支持を集めることがあります。
🔹(4)政治を選べない現実
選挙が長く行われておらず、
「別の政党に変えたい」と思っても、実際には変える手段がない
という問題もあります。
🧨 7. ガザ情勢が悪化すると何が起きる?
ガザで戦闘や緊張が高まると、次のようなことが起こります。
- 大量の避難民が発生する
- 病院やインフラが破壊され、医療・生活環境がさらに悪化
- 物資不足が深刻化し、食料・水・医薬品が足りなくなる
- 国際社会からの非難が強まるが、実態はなかなか改善しない
- 絶望感から、かえって過激な勢力が支持を伸ばすという逆説的な現象が起こる
つまり、
ガザの状況が悪化するほど、人々の不満や怒りが増し、暴力の連鎖が止まりにくくなる
という悪循環が続いているのです。
📘 第8話まとめ:ガザ問題は“封鎖 × 貧困 × 武装統治”の複合問題
- ガザは世界でも屈指の人口密度の高い地域で、多くが難民の子孫
- 2007年以降、イスラエルとエジプトによる封鎖が続いている
- 電気・水・医療・仕事・住宅など、生活のあらゆる面で困難が重なっている
- ハマスは福祉支援と武装抵抗を兼ねるため、支持と批判の両方を集める存在
- 経済的絶望と政治的選択肢の欠如が、ハマスの影響力を維持させている
- 貧困・封鎖・暴力が相互に影響し合い、「終わらない悪循環」を生み出している
🕊 次回(第9話)は…
現代②:西岸の現状と入植地問題
第9話では、
- ヨルダン川西岸の入植地が増え続ける理由
- パレスチナ自治政府(PA)の実態
- イスラエル軍の役割
- 「A・B・C地区」という複雑な行政区分
- 検問所や移動制限が日常生活に与える影響
などを、同じく中学生でも理解できる言葉で、丁寧に解説していきます。